NIMURA PLANT LAB. SDN. BHD.

植物資源ソリューションカンパニー 


IT時代の森林の新しい利用法とは何か


前記の森林利用法をもう少し突っ込んで考察してみます。


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有用生物資源(植物・微生物)の採集場としての活用法

研究材料生物資源を採集するためのフィールドとしての利用です。弊社の主要業務はこれに関するものですが日本の研究者が取得するにはマレーシアの研究機関との共同研究契約を締結する必要があります。採集には厳格なルールを適用し、乱獲を防ぎます。繊細な取り扱いが要求されますが、その反面、生物資源に対する需要は世界的に高まっておりビジネスとして最も有力です。

2

動物生態観察フィールドとしての利用法

野生の稀少動物の行動を観察するフィールドとしての利用です。マレーシアにはスマトラサイ、マレーバク、トラなど稀少動物が数多く生息しており、動物観察フィールドとしては魅力的な場所です。学術調査のプロジェクト実施地としてレンタルするというあたりでしょうが、正直にいってビジネスとしてはもうひとひねり欲しいところです。

3

IT技術の利用による上記以外のニュービジネスの展開

 ポテンシャルとして列挙した“観光地としての魅力”や“教材としての魅力”というのは一般の人が簡単には行けないからこその魅力と言ってもいいでしょう。実際にはなかなか行けない所へ、あるいは見られない物を仮想的に体験させ得るのがネットワーク技術を中心としたIT技術なのは言うまでもありません。そしてそれを高度に実現する為のインフラが急速に整いつつあります。

 上記の“動物生態観察フィールド”もITを利用することで魅力的な物になります。まず無線ネットワークと動画配信技術を駆使して熱帯ジャングルというフィールドを世界中にインターネット配信します。

 これにより稀少動物の観察を世界中の人々が動画像によりリアルタイムで行うことができます。ジャングル内に整備された無線ネットワークとモバイルコンピューティングを利用すればインタラクティブな熱帯雨林中継が可能です。

 これは例えば大学の講議に合わせて熱帯雨林を現出させたり、現地のプレイヤーと外国のナビゲーターが協力する形で、ラリーや宝探しといった“本当の意味での”ネットワークゲームを可能にします。

 そんなに大袈裟なものでなくても例えば老齢や健康上の理由で行けない人の代わりに家族の一人がジャングルをレポート(家族の指示に従って画面に写った植物をクローズアップしたり)するなどということも可能です。

実現の可能性について考えてみましょう。


筆者(二村@NIMURA PLANT LAB. 代表)は1999年6月にベトナム北部のラオス・中国との国境地帯の調査旅行を実施しました。その際インマルサット衛星を利用した電話(提供(株)KDDモバイル)によって現地の映像(静止画と動画)を毎日インターネット配信してみました(その時の模様は日経モバイル1999.9月号/10月号に掲載されています)。実感したのは個人が遠隔地から生中継を行う事はもう夢物語ではないのだということです。PCの性能はもう十分ですのであとは通信回線の速度向上を待つばかりです。そして今、インターネット(特に下り)回線は急速にその速度を上げています。テレビより多少荒い画像の生中継は現実の物となりつつあるのです。あとは衛星電話を含めた携帯電話のデータ通信速度の向上です。

現在動画像のストリーミングコンテンツはスポーツ・ニュース・音楽・映画の予告などに集中しており今後多様化欲求が高まることでしょう。しかし上記のコンテンツが果たしてインタ−ネット上での生中継に相応しいものでしょうか?テレビでもビデオでもちっとも問題のないコンテンツだと思いませんか?そうそこにはインタラクティビティというインターネットの大きなアドバンテージが存在していないのです。

野生動物を観察するプロジェクトも確かに定点観測カメラと大差はありません。しかし、ある区域に数十台規模で設置されたCCDカメラが捕らえる画像にはつながりが生じるはずです。A地点を通過したトラがB地点ではなくC地点へ向かったという情報は即座にネット上を流れ、M地点を観察していた人やK地点を狙っていた人もサブモニターで確認できます。これはインタラクティビティの原始的な発露です。

動物愛好家や自然愛好家、研究者などがここでは期待される利用者ということになるでしょう。ここにちょっとばかりスパイスを振りかけることによって一般人の利用者増加を試みます。野生動物発見者への賞金あるいは商品提供です。撮影した写真のコンテストでも構いません。

先頃ベトナムで撮影されたジャワサイの亜種の写真に1週間で1千万にも登るアクセスがあったと聞きます。野生動物というのは地味ながら集客力のあるコンテンツなのです。

ジャングルを舞台にしたインタラクティブなゲームや生中継の企画などそれこそいくらでも浮かぶでしょう。問題はそれを可能にする機器の設置とメンテナンスが可能かということです。無線によるLANの構築など、技術的にはすでに問題ないはずですのであとはどれだけ現場の条件にあった機器を準備できるか、そしてトラブルに対処できるかの問題になって来るはずです。そしてこの苛酷な条件下で使用に耐えるシステムは地球上のほとんどの地域での利用が可能なものになるでしょう。

多少身びいきながらまとめてみると

  • 動画コンテンツがこれからのインターネットの主流になるがインタラクティブな企画はあまり存在しない。
  • 通信速度の向上は現状でもかなり進んでいるが、ここ数年のうちに個人が動画配信をリアルタイムで行なえるレベルになる。
  • ジャングル(野生動物)というのは集客力のあるタイトルである。
  • インフラが整えば生中継の企画は豊富に生まれるだろう。

などといったところでしょうか。

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